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バイオクライマティックデザインによる住宅設計のパターン・ランゲージ

6-5 皮膚としての外壁

更新日:2022年1月10日

Outer Wall as Skin


人間の皮膚のように、外部と内部の熱が出入りするための外皮をつくります





















*人は環境の温度変化に対して、身体の熱の出し入れを調節しています。環境と体内の温度の調整を表面である皮膚で水分(汗)を出したり、洋服を着たりして快適な熱環境になるように調節して適切に保っています。住宅も同じです。室温を適切に保つには、外から受ける熱を調整したり、熱の出入りを調整する機能が必要です。


住宅の外皮を計画しています。


▼その状況において

室内と室外をへだてる外壁の性能を適切に設定しないと、室内外の熱の移動を考慮した計画ができず、快適な住宅をつくることができません。

なぜなら

・外壁は内部と外部の境界にあり、風や太陽の影響を受けやすいため、熱の調整エリアとして外壁を計画しないと、室内環境に外部環境が大きく影響してしまうため、快適な住宅は計画できません。

・太陽エネルギーを受けやすい屋根は直下階の部屋の温熱環境に大きく影響するため、熱をさえぎる計画をしないと、夏に暑く、冬に寒い部屋となってしまい、快適な住宅は実現しません。

・開口部(主に窓ガラス部分)は、外部の熱を内部に伝えやすい部位のため、光を取り入れながら熱を遮断する計画をしないと、快適な住宅は設計できません。


▼そこで

外皮(外壁や屋根など)を通して熱が内外部を移動することを理解することで、効果的に熱を出し入れする外皮を持つ住宅を計画します。

例えば

・夏の熱を和らげ、冬に暖かくなった熱を閉じ込めるために、外皮(外壁)の一部に外部の熱と内部の熱が直接接しないような中間領域を考えます。

・夏、太陽エネルギーを多く受ける外皮(屋根)から室内への熱の流入を防ぐために、屋根と上層階の部屋との間の小屋裏の換気を行い、表面を緑化し、定期的に散水するなど、温度の上昇を抑える計画を考えます

・材料自体が呼吸することで、水分を蓄えたり、放出したりする自然由来の材料(珪藻土や木材など)を外皮(外壁)に活用することで、熱が内外部を移動しやすくなるよう考えます。


▼その結果

・外気温と接する屋根や外壁が、内部と外部の熱の調整を行うことで、安定した室内環境となり、人間の皮膚のように環境と呼応するような住宅になります。

・南北に長く広がり、気象条件も異なる日本の中で、地域の気候に合わせた外皮を計画することで、快適な住宅が実現します。

・外皮(外壁・屋根)に自然由来の材料を使用することで、住む人の健康にも良い影響を与える住宅になります。

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